誤魔化さない高校物理

純粋な思考と数学的処理から、高校物理の論理体系を記述していきます。

運動方程式

Newton力学において、運動を記述する基本原理は以下の式になります。

 ma = f

m:mass(物体の慣性質量) a:acceleration(加速度) f:force(力)

(ただしa,fはベクトル量です。)

この式から理解できるのは、慣性質量mとは加速度の生じにくさを表すものだということです。

同じ力fに対して、加速度は f / m なのでmが大きいと加速度は生じにくくなります。

質量は我々が重力により、日々実感できる量なので物体の重さとしてなんとなくで捉えてしまいがちですが、我々の感じる質量は重力を生み出す粒子の基本性質であり、電荷のような量と似ています。

万有引力 G・Mm/r^2 電磁気力 k・Qq/r^2

をみればわかるとおり、粒子の持つ性質の一つが質量です。

質量は万有引力(重力)を生み出す物理量、電荷クーロン力を生み出す物理量です。

上に"慣性質量"とありますが、本来、万有引力では重力を生み出す質量である重力質量を用います。加速度の生じにくさである慣性質量と、重力を生み出す重力質量は物理的意味が異なります。

しかし、現代物理学ではその2つは等しいとされています。

よって、今後はその区別をせず、ただ"質量"とまとめてあります。

Einstein(アインシュタイン)の一般相対性理論の基本原理としてこの2つは等しい、という約束があります。

なぜ、ではなくて、等しいとしたら自然界を説明できるためこの原理を用います。

運動方程式 ma = f はNewton力学の約束であり、数学でいう公理にあたります。

何からも導かれない基本原理です。もちろんこれらの根本原理が誤りであった場合は多くの物理体系が覆されることになります。のちに ma = f は誤りであることがEinsteinの相対論によりわかりますが、この力学は光速に比べて物体の速度が遅いとしたときの良い近似として十分な精度をもっており、多くの科学分野の基礎に用いられています。

またma = fを相対論を用いて補正することで正確な議論に変更することができるので、

ma = fを近似だから意味がない、と考えるのはナンセンスです。